海月爆発

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ポケットモンスターに対する生物学・生態学的考察~フシギダネ~

フシギダネ、実は結構ふしぎだね

そんな川柳を詠んでいてふと思ったけど本当に不思議じゃないですか?あの背中のやつってなに?どういう過程でできたの?

そんな疑問を持ったことがある人は少なくないと思います。ここではゲーム内のポケモン図鑑やアニメの描写などからフシギダネというポケモンを我々の世界の生態学、生物学的に考察していきます。

フシギダネへの疑問ってなんだよ

背中のあれ、ハッキリ言ってこれ以外ありません。

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一旦あれが無い状態の姿を想像してみましょう。フォルムは四足歩行で爬虫類か両生類の様な見た目をしています。『ポケットモンスターピカチュウ』のポケモン図鑑にある「なんにちだって なにも たべなくても げんき! せなかのタネに たくさん えいようが あるから へいきだ!」という記述や口の存在から見ても草食もしくは肉食と見て間違いないでしょう。ウツボットじゃあないんですから草タイプで肉食というのはあまりなさそうですけどね。

ではここに背中のあれ、ここでは便宜上タネとしておきます。あの存在を考えていきましょう。多くのゲーム上のポケモン図鑑では生まれた時から背中にタネがあり、栄養供給を支える一方タネ自身も成長していくと記述されています。進化系たちを見れば成長することはまあわかりますが栄養供給機能も備わっていたのですね、恥ずかしながら知りませんでした。ちなみに光合成もするようです。

栄養供給機能、ここだけを見るとメダカやサケの仔稚魚に見られる栄養袋みたいですね。ですがタネはいずれつぼみ、そして花へと成長していきます。ここでフシギソウに目を向けましょう。『赤緑』や『X』でのポケモン図鑑では「つぼみが せなかに ついていて ようぶんを きゅうしゅうしていくと おおきな はなが さくという。」という記述があります。吸収という言葉から考えてフシギソウの生体から栄養を吸収していると考えるのが自然でしょう。

フシギダネの頃は栄養を供給していたのにフシギソウになると栄養を吸収?一体どういうことだよと疑問が出てきそうです。ここで一つの仮説を立てます。タネと生体は別個体で相利共生の関係にある。これ自体は実際すんなりと出てきそうですよね。相利共生とは読んで字のごとくお互いが利益を得られる共生関係のことです。アリとアブラムシの関係がわかりやすい例でしょうか。

しかし今度は別の疑問が二つも生まれてきました。「別個体とは言うけど、ソーラービームとかつるのムチってタネから生体の意思で出してるよね?」「共生で得られる利益ってなに?植物だしそこら辺に生えればよくない?」今度はこれについて考えていきましょう。

まずは一つ目の疑問。アニメを見ると確かにタネから技を出す場面が多々あります。つるのムチなんかは結構器用に動いてますね。また、トレーナーの指示に従って技を出せるところからも考えると確かに生体の意思の通りに操ることができると考えられそうです。

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続いて二つ目の疑問。陸生植物が地面に根を降ろさずポケモンにくっついているのは繁殖、土壌由来のエネルギー獲得のためであると考えられます。我々の世界の植物は自ら移動することができないので、風や水、虫や鳥などの動物を使うことで受粉や種子を拡散するというのが主な繁殖方法になっています。この移動できないという欠点をタネはポケモンにくっつくことで解消、より遠くへと遺伝子を拡散できるようになったというわけですね。また、本来土壌から得るはずの窒素、リン、カリウムといった基本栄養素は生体が生産するエネルギーから摂取することで賄っているのでしょう。水場に移動できるので日照りのリスクも回避できるのでいいことづくめですね。

これらから考えてフシギダネとタネは

フシギダネ:移動手段の提供・土壌由来の栄養素の提供

タネ:幼体時の栄養提供・外敵と戦うための武器としての機能

これらの面で共生関係を結んでいると考えられます。

サンゴという生き物がいます。彼らは実はサンゴ虫という刺胞動物ですが、褐虫藻という藻類を共生させることで光合成によるエネルギー生産を可能としています。また、ミトコンドリア葉緑体は独自の遺伝子を持っていることから、現在の生物は他の生物の細胞を取り入れ、共生してきた、とする細胞内共生説という説も存在しています。フシギダネも同じように、陸上生活に慣れない祖先が身を守るために植物と共生関係を結び(たぶん共生関係を結べるようになるまでめちゃめちゃ世代を重ねてる)、独立した個体同士のまま誕生できるようになるまで進化してきたのが今の姿ではないのでしょうか。

 

こんなところで今回はこれで終わりです。フシギダネのタネだけでこんなに考えられるってポケモンってすごく不思議な生き物ですよね。まだまだ不思議なポケモンはたくさんいます。皆さんもちょっとした瞬間にポケモンの生き物としての成り立ちについて思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。